どこに魚がいるか、いち早く学んでDiveする
【注意】秘匿性の高い情報のため、一部情報を加工して記載しております。ご注意ください。さらに詳しい支援方法を知りたい方は、別途お問い合わせください。
#case #servicedesign #b2cmarketing
要約
・オウンドプラットフォームの稼働率を高めるデジタルサービスの企画がお題。競合サービスは既に存在するも、同質的で、圧倒的な勝者はいない状態だった
・ユーザーが本当に求めているものを探るべく、スピーディに仮説検証を実施。通常3ヶ月かかるプロセスを1.5ヶ月で行い、早期にコンセプトを企画
・競合サービスが謳う価値はユーザーから求められておらず、より根源的な欲求に応えていくことで差別化をしていくことに
広告やプロモーションに頼らずに…
どうしたら広告やプロモーションに頼らずに、ユーザーとより深い関係が構築できるのか−。
いち早くデジタルマーケティングに取り組み、オウンドプラットフォームで集客からコンバージョンまで徹底的にマネジメントしてきたが故の、深淵な課題だ。
もちろん、これまでも様々な努力を積み重ね、多くのロイヤルユーザーを獲得してきた。しかし、さらなる事業拡大のためには、集客におけるキャッシュアウトの抑制とユーザーの稼働率向上が求められていた。
新たなデジタルサービスに想いを託す
そこで策として考えたのが、ロイヤルティが高まりやすい商材をテーマに、新しいデジタルサービスを企画することだった。
しかし、このとき既に、世の中は競合サービスで溢れていた。そのクライアントも例外ではなく、数年前にとあるアプリをリリース。一時期話題になったが、ユーザーの高い期待値に技術が追いつかず、苦戦。他社も同様のサービスを展開するも、圧倒的な勝者は存在していなかった。
一見、レッドオーシャンの様相を呈しているが、ユーザーは満足していない。彼らを魅了するようなサービスができれば、状況は変わるのではないか。そんなクライアントの想いから、Penguin Tokyoにお声がかかったのだった。
ユーザーが本当に求めているものは何か
“ドリルを買いにきた人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である”
セオドア・レビット
マーケティング界のドラッガーと呼ばれたレビットの“ドリルの穴理論”。 半世紀以上の前の格言でやや古い(※)ものの、その本質は今でも変わらない。
(※: 人が本当に欲しいのは“穴”ではなく、その結果、本棚を壁に備えつけることができること、それによって得られる“達成感”や、家族など周りから労ってもらうことで得られる“喜び”である)
今回のケースも、各社、自分たちの持つテクノロジーにばかり意識がいってしまい、ユーザーに向き合い切れていないのではないか?
私たちはそう感じ、サービス提供者側の都合や事情、“妄想”に逃げず、ユーザーが本当に求めているものは何か、を徹底的に深掘りすることとした。
“超”スピーディに仮説検証を繰り返す
ユーザーの本質的欲求を探るのは、サービスデザインでは一般的だ。しかし、私たちはスピーディな仮説検証を重視する。
通常、この手のプロジェクトは、アイディエーション→調査→サービス設計のプロセスを3ヶ月ぐらいかけて行う。だが、多くは、最初のアイディエーションに想定以上の時間がかかってしまったり、残りの時間が少なくなるが故に、調査も“予定調和”的になったりする。
結果、自分たちのアイディアを形にすることが優先され、他のサービスとの競争の観点が抜け落ち、“その会社ならではの”サービスとは程遠いコモディティが出来上がるのである。
私たちがいう“スピーディ”とは、こんな感じである(このプロジェクトの実際の流れだ)
1週目:
国内外の10以上の競合サービスを洗い出し、ターゲット、提供価値、改善機会を抽出。13個の価値仮説に集約
2週目:
9名を対象に、チャットインタビューを実施し、価値仮説を検証。会話の盛り上がりや反応速度から、生活者の素の評価や本音を見極める
3週目:
インタビュー結果を基に、ワークショップを実施。KA法を用いて、生活者の発言の真意、前提、文脈、矛盾が起きる理由を深掘り
4週目:
3つのサービスコンセプト(それぞれコンセプト文、ストーリーボード他)を作成し、フィージビリティを確認。クライアントと合意
5-6週目:
18名を対象に、再度チャットインタビュー。何が本当にユーザーの心に響くのか都度仮説検証をしながら、コンセプトを磨き上げる
7週目〜:
コンセプトから具体的なサービス要件の定義に入る
通常の半分以下の期間で、実効性の高いサービスを企画したのだ。
結果、わかったことは…
繰り返し仮説検証をしてわかったことは、何か。
それは、既存のサービスが謳っている価値は、ユーザーから大して求められていなかった、ということだ。
むしろ、“そもそもどんな商品を選んでいいかわからない”という、事業者からしたら最も原始的な、ただユーザーからしたら根本的なペインが、解消できていないことが明らかになった。レビットの“ドリルの穴理論”のごとく、各社、自社が持つテクノロジーのレンズで、勝手にユーザーのニーズやウォンツを創り出していたのだった。
このプロジェクトは、現在進行中であり、ここからどのようにサービスとして発展するかは正直わからない。しかし、具体的なサービスの設計に進む前に、今回の発見が得られたことは非常に意義あることだったのではないだろうか。
私たちが掲げる“Dive, or Die.”
これは単に、“何でもいいからDive(=新しい挑戦)をしましょう”と伝えたいのではない。
そこに飛び込めば高い確率で魚(=成功)がいることをいち早く学び、その上で”飛び込みましょう“ということだ。
さぁ、あなたも一緒にDiveしませんか?