なぜあなたの会社のクリエイティブはダメなのか? – 今すぐ実践したいクリエイターへのディレクションのコツ –

機能的価値だけでモノが売れる時代はとっくに過ぎ、人々の心を動かすトリガーとしてクリエイティブの重要性が叫ばれて久しい中、クリエイティブ開発がうまくいっていないケースが散見されます。なぜあなたの会社のクリエイティブはダメなのか、どうすればあなたの期待を超えるクリエイティブが出てくるのか。そのポイントをご紹介します。

依頼する側・される側が持つ不満
クリエイティブ開発を依頼されたご経験のある方なら、こんな不満を抱いたことはないでしょうか?

エージェンシーは言ったことを守らず、好き放題無責任に思いつきを持ってくる、進行管理ができておらず、同じ指摘をしつづけないといけない、など。

一方で、エージェンシーサイドにも依頼主の事業会社に対して不満を抱えていることもしばしば。

例えば、指示の内容がころころ変わる、担当者の個人的な好みを押しつけてくる、クリエイティブワークの意図を組んでくれない、など。

実は、このような事業会社とエージェンシーとの間の不和が、効果的なマーケティングを行ううえでボトルネックになっているってご存知でしたか?

では、どうすればスムーズなクリエイティブ開発の進行、および良質なクリエイティブの生産ができるでしょうか?

不和を解消するシンプルなこと
コツ、とタイトルで題したものの、先に結論を言ってしまうと、私たちは「お互いにやることをきっちりやって丁寧に進めること」が大事、それに尽きると思っています(根も葉もないですが)。これだけで大抵のクリエイティブ開発で発生する問題は軽減・解消されると考えています。

そもそも一流のクリエイターは、アーティストではなくビジネスパーソン。しっかりとしたパートナー関係が築ければ、効果的なマーケティングを実現するうえで、これ以上ないあなたの武器になります。

そのために以下の4つポイントを押さることをお勧めします。

ポイント①事前にしっかり与件を整理する
与件となる項目(与件となる項目例を参照)は、エージェンシーにオリエンテーションをする前に、依頼主の中でしっかり上長・各部署と確認し、簡単には覆らないようにしておきましょう。後から、与件を追加・変更すると、クリエイターは混乱し、その分、出てくるクリエイティブは散漫になり品質担保が難しくなります。

特に後々稟議に参加する予定の経営陣や、思い入れが強い熟年社員は事前にリストアップし、根回ししておくとうまくいくことが多いです。

後述しますが、個々人の主観をクリエイティブアイデアに持ち込むべきではない一方、そうはいってもコントロールしきれない関係者はいるもので、アウトプットに関わる定性的な情報は先回りして収集し、「トーン&マナー(いわゆる、トンマナ)」や「留意事項」として言語化して、まとめておけるとベターです。

<与件となる項目例>

  • 取り組みの背景・目的
  • 目標(KGI/KPI)
  • これまでの取り組み
  • STP(Segmentation, Targeting, Positioning)
  • Product, Price, Place
  • 期待するトーン&マナー
  • 留意事項 など

 

とりわけ、マーケターの方は、こうした与件は、きっちり考え抜き、社内で合意形成をしておく必要があります。特に、ターゲティングの掘り込みが浅いとインサイトの捉え方に、双方で齟齬が出てしまい、アウトプット以前の「そもそも論」に戻ってしまうことがあります。

また、あいまいな情報をうっかり伝えないことも重要です。エージェンシーは依頼主側の言葉を“金科玉条”のごとく、何度も反芻し、考えの起点としているため、依頼主の思わぬ発言がクリエイティブのアウトプットに大きく影響してしまう可能性があります。

ポイント②端的に伝える
“あいまいな情報をうっかり伝えない”にも通じますが、エージェンシーに対しては、多くの情報をインプットしない方が得策です。というのも、情報量が多いと、クリエイティブの思考の振れ幅が大きくなり、混乱を生むことが多いからです。

ちなみに、情報量が多いと、エージェンシー内では、依頼主からのオリエンの後、営業サイドとプランニングサイドでブリーフ内容の咀嚼に時間をかけて、肝心のクリエイティブが考える時間が少なくなってしまうことが起きてしまいます。

また、クリエイティブのプランニングの際に、「場合/パターン分け」が多く発生してしまうブリーフは、無駄なバリエーションが増えてしまうことが多く、それぞれのパターンに応えようとした結果、本来取り組むべき案に割く開発工数が少なくなってしまいます。当然、クリエイティブの質が低下してしまうのは否めません。

したがって、ターゲットとする顧客にとってほしいアクションは何か、そのために捉えるべき顧客心理(インサイト)と伝えるべきことは何か、そうした仮説を端的に明確に伝えることが極めて重要になってきます(もちろん、その仮説はしっかりと社内でコンセンサスをとっておくことが前提になります)。

ポイント③勇気を出して任せる
クリエイティブの領域は、マーケターなどの有能なビジネスパーソンを“ただの人”に変えてしまう場所です。

出てきたクリエイティブアイデアに対して、色々な感想や心情の変化を“良かれ”と思って伝えたとしても、それは「ただの人の一意見」なので結果的に改悪につながることが実は多いです。

クリエイティブアイデアはロジックの積み上げでは生まれえないブラックボックスであり、だからこそマーケターではなく、専門家であるクリエイターに任せるべき、という初心を再認識しましょう。

また、クリエイターは時折、さまざまなカルチャーのコンテンツや人に触れ、独自の情報ソースを形成していることが多いです。そのストックから非線形の掛け合わせを行い、生まれるものがクリエイティブアイデアであり、マーケターはそこに安易に手出しをすべきではないのです。

したがって、クリエイティブアイデアに関してマーケター自身は、一消費者でしかない(しかも、ターゲットセグメントに自分が含まれなかったらなおのこと)という姿勢で提案を受け、少しの疑問や感想はその場で押しつけない。もしどうしても気になれば、社内や身近な人にヒアリングしてみてから判断すべきなのです(そうすればクリエイターにとっても、納得感が生まれやすいのです。)

なので、マーケターとしてクリエイティブアウトプットに対して行うことは、伝えた与件がもれなく齟齬なく反映されているか、というチェックに限定しましょう。

ポイント④きっちり説明する
一方、依頼主側がどんなに丁寧に検討や社内の合意形成を進めても、社内外の事情で当初の与件が変わることはあります。

そんなときは、エージェンシーに決定事項だけを表面的に伝えるのではなく、発生した理由や背景、そのためにどのポイントを変更する必要があるかを丁寧に説明するとよいでしょう。

また、先述の通り、クリエイティブアイデアはロジックだけでは生まれませんが、クリエイターはアイデアに行きつく過程で、脳内で演繹的なシミュレーションを非常に精緻かつ膨大なバリエーションで行っています。

その積み上げで生まれたアウトプットに対して、表面的にしてフィードバックをしてしまうと、どこのモジュールが変更されたのか分からず混乱を生んでしまいます(たいていは営業などのPMが、「なだめて」ことを進めていることが多い。)

どのモジュールを組み替えてくれれば成立するのか、を依頼主側がきっちり説明すれば、彼らもビジネスパーソンなので納得して快く修正に応じてくれることがあります。

いかがでしょうか。よいクリエイティブアウトプットを得るために、依頼主側でまだまだできることはあったのではないでしょうか。

書いてあることは分かる。だけど、実際にやるのは難しい…
そんなあなたはぜひお問い合わせを!

follow us in feedly